事故直後から「わからない」状況が長く続く中で(今もどうしていいかわかっていないようですけど)伝える情報が出ず、難解で専門的な分野であったために、教授や研究者はテレビにひっぱりだこ。元々テレビは教授が大好きで、彼らの言うことはほぼ間違いないという「裏づけ」に使われる存在として重宝されています。もう周知のこととなりましたが、彼らの中にも「御用学者」と呼ばれる政府に仕える原発推進派と、そうでない派がいるわけで、同じ専門家でも各氏が「信じるところ」が微妙に違います(余談メモ:今回の事故を受け、以前御用学者だった研究者のグループが手のひらを返して原発推進を陳謝したという記事(読売オンライン)が数日前にあり、事の深刻さを物語ってます)。それぞれ個人の信念に触るような発言は控えていたようですが、この期に及んで「この危機を乗り越えれば、日本の原発がすばらしいということを世界に証明できます!」とのたまるやつや、ここぞとばかりに自分の分析は絶対正しいと大興奮で説明する勘違い野郎など、クセのある方々もおられました。ネット上では御用学者一覧がつくられ、既に吊るし上げが開始されています・・・(気持ちはわかる)。テレビ局はどんな基準でその学者を選んだのか?スケジュールの問題などももちろんあるでしょうが、ここでもテレビ局(新聞同様)の性格が専門家のチョイスに出ていた気がします。TBS は原子力資料情報室という脱原発系NPOの代表の伴さんをよく呼んでいたので、私は主に TBSのニュースを選んで見ていました(筑紫哲也さんが生きてたら何と言うやら・・・涙)。東電の経済的な地位(影響力)が落ちた今は、メディアも恐れずブームに乗って東電をたたき始め、今となってはどこも大差ないようですが、毎日新聞系(TBS)は中道左派の論調と言われるだけあり、以前から原発に関して疑問を呈する姿勢が多少ありました。全般的にテレビでは、特に流出する放射線量の影響ついて正しく読みにくい説明も多く、国民をパニックにさせまいという「配慮」のもと「心配ない」連発の専門家だらけで、最悪のシナリオの冷静な分析を誰も教えてくれませんでした。全国ネットは「東京が中心」の姿勢が隠せず、被災者の方々の悲劇を見せ物のように伝えた民放もあったりと、テレビに対して懐疑的な意見が増えているようですが、やはりテレビはアクセスが楽な受動的なメディアなので、幅を利かせています。
原子炉内部の状況や講じている対策、それを受けた見通しなどは大本営から出る情報しかありませんが、放射線量などの情報や予測、そしてこれからのエネルギー政策をどうするか(このことについて一番言いたくてこれ書いてるのになかなかそこに辿り着けない・・・)などは、オルタナティブの情報ソースからの発信も増えてきました。そこからまた正確そうなものを探して考えるのは、お勤め人にそんな余力はなく、難しいことかもしれません。海外メディアや NGO(できれば政府や企業と繋がりのない独立団体)、自分と「信じるところ」の近いジャーナリスト、独立調査機関など、ウェブを渡り歩かなくても参照する先を決めておけるといいと思います。それぞれ必ずと言っていいほど Twitterなどで配信をこまめにしているので、こちらが能動的にならずとも情報が得られます。海外のソースについては、よくデータの出典として出ている IAEA も、原子力の平和利用を監視する役割がありますが、原発は「平和利用」という位置づけで推進の立場の機関なので、データや発言がバイアスがゼロとは言えません(今日 IAEAの事務局長は「原子力懸念への対応が必要」と。撤廃すれば懸念も無くなるだろうに・・・)。こと原発事故に関しては海外と日本のメディアの論調には違いがあり、海外メディアはセンセーショナルだと日本メディアも反応し、その後政府も同様のコメントをしました。海外メディアは日本の大本営直下(記者クラブなど)の情報が日本メディアと同様にわたらなかったりするので、外国人記者クラブに比較的中立な立場の専門家を招いて話を聞いたりと独自路線でリサーチをして記事を書くので、異なった視点からの意見が見られます。「意見」というだけあって、それぞれのジャーナリストの私見が濃く入っていたりします。日本のメディアは多少それぞれの味付けをしながらも「事実」を客観的に伝えようというのが第一なので「危ない」とか主観的な表現はあまり見られません。あと「安全ありき」が海外メディアの基本姿勢、あと日本国民をパニックにさせまいという配慮も不必要なので、煽るような論調と言われました。その「度が過ぎる」予測報道に事実が追いついて、本当のことにならないことを祈ります。
様々な情報といえば、今回の地震を「人工地震テロ」と唱えるひとたちも出てきたようで、もうやりたい放題です。9.11のときも多くの陰謀説が出たし、こういうときには恒例です。今年は 9.11から丁度10年なので、想像力豊かな方々が既に喜んで今回との関連陰謀説をご披露されているようですけど、そのイマジネーションを何か人の役立つことにつかってほしいなぁ。話を元に戻すと、9.11 の時にはアメリカ人(ですら)も事実を求めて CNN より BBC などの他国のメディア情報を集めるひとが多かったといいます。英語圏の人は読める国のニュースが多くていいですよね。ここ一週間ほど、日本のメディアは前より原発張りつきで状況をアナウンスしていないのが気になります。細野首相補佐官が2日程前に「放射性物質放出が止められる見通しが数ヶ月後」and「危機的状況は脱した」発言したようですが、そんな相反する見解(危機的状況脱してないやん!)が並ぶうちは、やはり他の情報ソースも見ておきましょうね。
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