原発事故直後、友人からの短いメール「『風が吹くとき』になっちゃうのかなぁ」。
ブラック・コメディーの傑作と評された『風が吹くとき』。確かにコミカルな面もありますが、今のわたしたちにとっては「ブラックやなぁ」と心の底から笑えません。核爆弾と原発事故という違いはあるし、程度の差はあれど、わたしたちの今の生活にある一コマと似たコマがところどころにあり、その間のジョークすら生々しい(たあいないバカげた会話が非常時にも交わされるというリアリティー)。
「『風が吹くとき』を読んでもまったく笑えなかったよね」と、笑える日が早くきますように。
(『風が吹くとき』レイモンド・ブリッッグズ 作 , さくまゆみこ 訳)

「「食べ物が体をつくる」とか「健康第一」とかって言うだろう」
「核戦争も、健康な者だけが生きのびることができるんだよ」
「豆もからだにいいらしいな」
「でもおならが出るわ。豆はよしてくださいよ、ジム」

「日本では原爆のずっと後でも死者が出ている・・・なぜだった
かな」
「用心が足りなかったのね、きっと」
「そう、正しい策をとらなかったのさ。それに、あのころは科学
がまだ幼稚だった。進歩した現代科学のおかげで、今は対応が
きちんとできるはずだよ」

「何も見えないし、何も感じないんだから、
べつに害はないんじゃないの?」
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