だれが読むでもない、低線量内部被曝から身をまもるための「食べ物ノート」シリーズ。続きです(過去の投稿は FOOD のカテゴリキーワードで一覧できます)。
以前にも食べ物における放射能除去の方法などのサイトをリンクしていますが、アップデイト&放射能に負けない体をつくる集約版を見つけました。また、以前の資料に比べたら簡易なダイジェスト版にはなるのだけれど、その放射能除去の復習になるようなブログポストを見つけて読んでいたところ、「食品の暫定規制値はどう決められているか」というところでつい止まってしまいました。分かっていたつもりだったけれど、食品安全委員会が「一年間に被曝しても問題ない」とした値から年間の上限を決めて、品目ごとに割り当てられたものだったんですよね。大人と子どもの許容値が別に設定されているものもあるけれど、そんなの大人の(高い数値)の方でくぐり抜けて流通しているわけだから、子どもの口に入る食卓の間際で測定する術を持たない個々の家庭で、どうしろというのでしょうか。流通している食品は食べ続けても絶対に安全と信じろと?先ほど、グリーンピースがスーパーマーケットの店頭に売られていた魚 60サンプルを検査したところ、基準越えはなかったものの半数以上からセシウムが検出されました。日本に暮らして幅広く食べ物を食べたいのであれば、ベストは尽くして避けるけれども、ゼロリスク(0ベクレルを望む)の理想は捨てないといけないと思います。検査機の検出限界値もあるわけだし。
このゆるゆるの「暫定我慢値」について、しばらく前から「いつまで "暫定" なんだ?」という疑問がいつもひっかかっていたため、厚労省の基準審査課というところに昨日電話して聞いてみました。結果、現在見直しのプロセスの最中で、8月に集めたパブリックコメントを受けて、食品安全委員会が国内の新規制値をつくっているところだと。それが出てき次第、厚労省でとりまとめてできるだけ早く平常時(ん?平常時?)の規制値に戻したいとのこと。目下、経済活動が滞ることを何よりも恐れて、安全より流通を優先させながら街は動いています。そのように平常時を一番装いたいのは国。でもよく考えれば「平常」なわりにはこの食品規制値だけが緊急時のままってのは不都合なはず。はよせんかい!という感じですが、3000件のパブコメの整理に時間がかかっていて、食品安全委員会からなかなか返事が出てこないんだと。パブコメをそんなによーく2ヶ月も読み込んでいただいて結構なんですが、随分悠長ですこと。見直し中であるのに時期的な見通しは分からない(年内か、半年後かも)そうです。核種についても、現在ヨウ素、セシウム、プルトニウム、ウランだけだけど、新基準では他の核種に対しても規制値が設けられるのか?の問いには「検討中」と。結局クリアな返答は何も貰えなかったわけですが。(関連:食品の基準は厳しく見直すと厚労省 / 現在の国の暫定基準値 500Bq/kg は全面核戦争時に餓死を避けるためにやむをえず口にする食物の汚染上限)
先日、横浜で高い値のストロンチウムが発見されて話題になっていましたが、散乱している核種がヨウ素とセシウムだけでないのはもう随分前から周知のこと。今回放出された放射性物質は全部で 31種類だそうで(MOX 燃料入りということがチェルノブイリとの差異でもあり、一番怖いところです・・・)。あとは程度の問題。セシウムが結構な値であればストロンチウムもそれなりに含まれていると考えていいようです(ちなみにチェルノブイリときに放出されたストロンチウムの割合はセシウムの1割程度)。一般に普及しているガイガーカウンターではガンマ線核種のみ(セシウム)を拾うものがメジャーですが、ベータ線(ストロンチウム)やアルファ線(プルトニウム)を出す他核種を拾わなくても、セシウムである程度は足跡がたどれると考えていいのだと思います。半減期の長い強い核種は、地面に吹きだまったものが舞い上がって、吸い込んでしまう被ばくも怖いですが(一度地面に降下し、風で舞い上がった放射性物質を取り込んだ場合の内部被曝量は、大気から直接吸入するのに比べて約10倍:時事通信)空間線量が高い場所というのは、市民測定のおかげである程度は目星がつくので、近づかないという対策がとれます。なので、やはり毎日の食べ物経由の内部被曝が一番怖いし、流通させてしまっているから東日本に限った問題ではなく、被曝の危険性は全国に潜んでいます。基準値もその高い設定が問題ではあるのですが、それ以下は市場に出さないようにとわざわざ決めてんだから、まずはそのルールを守ってくれよ、と言いたい。
きのこなんかクレイジーなことになってますが・・・たまに半端なく高い値が出てまさに毒きのこ(マリオが 1機死にます)。食べ物で何に気をつけたらいいか、10秒で友人に伝えないといけない場合、最初にあげるのがおそらくきのこでしょう(続いてたけのこ、ベリー類と補食魚、摂取量の多い米かな・・・)。きのこは東北の露地栽培のものだけでなく、東北産の菌床(おがくず)を使って育てた徳島県のきのこから高い放射性物質が検出されたケースが最近あったし、関東各地でもこの収穫期になって続々と検出されています。腐葉土や瓦礫もそうですが、とにかく放射性物質を人の手で遠くまで移動させんのやめてもらいたい(怒)。
少し戻って、ストロンチウムの内部被曝対策について。アルギン酸を摂るとその体内残留量は 1/8 程度になるそうです。アルギン酸を摂取するベストな方法はもずく(うちの子の大好物ですが)と、知人情報。汚染されていない地域でもずくの名産地といえば沖縄。沖縄産もずくにはアルギン酸がたっぷりだとか。玄米のフィチン酸の成分もストロンチウムと結合して体内に吸収されることなく外に出してしまうとも聞きました(しかしフィチン酸の摂り過ぎによるミネラル欠乏症には要注意)。梅干しとともに食べると、そのクエン酸やアミグダリンという成分の働きも加わり、排泄を促してくれると(フィチン酸以降のくだり by「家庭でできる自然療法」東条百合子著)。体内の酸化ダメージを減らすという、"放射能につよい体をつくる" のに定番の効能があるようです。
最近食べ物の話題を何気なく知り合いと話す中で、気をつけていない人の多さに改めて驚きました。「内部被曝」ももう定着した言葉になってきたけれど、わたしはこれから「低線量内部被曝」と意識して呼ぼうかと。今一番気をつけねばならないこと・・・それはメディアが飛びつく局地的マイクロホットスポットの空間線量ではなく、毎日の食事に潜む「少しずつ」のリスクです(改めて)。
関連・参考リンク:
・【おすすめ】低線量内部被ばくから子どもを守るために PDF(Say Peace Project 発行、崎山比早子氏 監修のブックレット)
・【おすすめ】在日フランス人向け公報 IRSN「食品の汚染に注意」(フランス放射線防護原子力安全研究が発表した、東日本の食品汚染の状況や勧告)
・ストロンチウム汚染を「正しく恐れる」ために(5月のニュースブログ)
ちなみに「なう」はもう古いんだってさ(と、20代の男子に指摘された)。
