ひろく、うすく、ながーく汚染が続くとマヒしますね。最近とくに食べ物への注意力が下がってきてラーメン屋に抵抗なく入っちゃう自分もマヒしてきたのかもしれません。それかあまりに周囲が気にしていない様子なので、同調バイアスが働いてきているのかもしれないな。それもいかんいかんと思うのですが、放射能を気にすることに疲れてきている方たちも多いので、改めて放射能汚染の「気をつけるキーポイント」をおさらいしてみようと思います。注:長くなります。
いちから書いていく気力もないので(いきなりの脱力宣言!)、環境活動家で原発・放射能問題に詳しい田中優さんが執筆/発言された情報をまとめられている方の
「ポスト311 、何を食べたらいいのか」の内容をベースに、わたしの個人的な見解を加えていこうと思います。原文(前出のリンク)にも注意書きされているように、未知なことが多い現状の中で、優さん( and わたし)の情報がすべて正しいとは限りませんので、鵜呑みにせず、あくまでも参考にしてご判断ください。
以下、*部分が優さんの言われたことの抜粋、文末・文中の( )がわたしの意見/加筆です(わたしも原文全てと意見が合致しているわけでもないので)。
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《 どの核種を気にすべきか 》
*今回の福島第一原発事故は、チェルノブイリ原発事故と違って核爆発ではなかった。そのため爆発温度が低く、金属が蒸発するほどの温度に達していない。おかげでチェルノブイリのように金属核種が蒸発ガス化して、風に乗って遠くまで飛ぶということはなかったようだ。そのおかげで心配されたプルトニウムはほぼ原発敷地周辺と風下にあたった飯館村(など)にとどまり、骨に蓄積して体外に排出されにくいストロンチウム(以下 Sr.)も被曝量でセシウム(以下 Cs.)の一万分の一以下にとどまった。当初に人々を被曝させたヨウ素は遺伝子を傷つけ、将来に被害をもたらすものの、寿命(半減期)が短かったおかげで現時点では数億分の一まで下がっている。今後気をつけなければならない放射性物質としては、ほぼ Cs に限定されていると言えるだろう。(海の大規模汚染はチェルノブイリではなかったこと。ひとつのものから Cs が多くでなければ Sr も出ないわけですが、水溶性で海にたくさん溶け出して魚に取り込まれたであろう Sr 。魚の汚染( Sr は骨部位に溜まる)、その生態濃縮、これからの汚染の移り変わりは要ウォッチだと思います。)
《 セシウムの性質と食べ物の汚染 》
*だから Cs を含んだ食べ物が怖い。食べ物が放射能に汚染されていたら、体の中に蓄積されて、内側から放射線に撃たれることになるからだ。体内に入った放射能も、時間が経てば排泄されていく。この時間を「体内半減期」と言って、物質によって大きく時間が違っている。しかし今回の福島第一原発事故では、最大の被曝量となるのは Cs だから、その Cs を見ておこう。Cs は水に溶けやすいと言われる。しかし現実には溶けやすすぎるのだ。マイナス116℃で水と反応するので、常温の大気に出てくれば必ず大気中の水蒸気と反応する。そして一度水と反応した Cs は、二度目の反応はしない。だから常温の世界では水と反応しないのだ。水と反応し、粘土やホコリと反応する。余った電子の数が、粘土を引きつけるからだ。だから現実には、Cs は必ずホコリと共にやってくる。水の底に沈んだ汚泥や側溝の下、雨どいの下やすべり台の下に集まるのはすべてそのせい。エアコンや車のフィルターに集まるのも同じだ。逆にそのせいで、最初の雨水に叩き落されはするが、その後の雨には含まれにくい。野菜も同じで、当初ホコリと共に降り注いだ Cs が野菜を汚染したが、その後の野菜の汚染レベルをみると、ほとんど汚染されていない。根を経由しての汚染は、ほとんど見当たらないのだ。汚染度は以下のHPに掲載されている。
・全食品
・淡水魚 ・回遊魚(ホコリにくっつく Cs 関連ではこれからのスギ花粉のことに触れたいのですが、長くなるので末尾にリンクを置いておきます。そして、雨のついての話が出ましたが、先日東京でも雪が降ったときに、Cs とヨウ素が検出されたと騒ぎになったのですが、誤検出でした。久々の雪だったために大気中のラドンが多く含まれていたそうで、それが原因だったとか。昨年3月の大量のフォールアウト後の雨では有害な放射性物質が多く含まれていたのですが、ここでも優さんが言われているように最近の雨にはそれほど神経質にならなくてもいいようです。念のために子どもがびしょ濡れになるようなことは避けたいと思いますが・・・。詳しくは:雨や雪に含まれる天然放射性物質 by こどもみらい測定所)
《 産地と濃度に気をつけるべき食品 》
*逆に言うと、汚染されている食品は限定されている。それらを覚えた方がずっと早い。 第一に生体濃縮による汚染だ。栄養と勘違いして集めてしまった Cs を、微生物、小魚、大魚と濃縮してしまった場合だ。この生体濃縮に注意すべきものは、「肉・卵・魚・牛乳」だ。しかし日本の畜産ではアメリカ産の配合飼料を与えるのが一般的であるため、家畜の汚染度は高くない。当初の汚染されていた稲藁を与えてしまった牛肉や牛乳以外では高くはない。むしろ問題なのは天然由来の魚介類だ。魚の汚染度を見てみると、大まかに淡水魚、海の底生生物、海の回遊魚の順に汚染が下がっていく。淡水魚の中でも特にアユが高い。これは特殊に Cs を集めるコケを食べているためだ。それ以外の淡水魚も高い。これは栄養分の少ない川に生息しているためだろう。汚染されている海は限定的だ。特に福島沖と茨城沖が高い。福島原発から莫大な放射能が海に流されたが、その流れは北から流れてくる千島海流が南に押し、茨城と千葉の県境にある犬吠崎で、南からの強い流れである黒潮に押されてハワイ方向に流されていくためだ。もちろん乱流もあるので周囲に広がりはするが、汚染度の高い場所は福島と茨城沖に限られている。
(肉より魚が注意というのは同感です。我が家は肉も一応産地を気にはしますが、
家畜はそこまで深刻化する感じはしていません。都心ではあまり口にする機会はないですが、イノシシやシカなどの野生の獣の肉は今でも危険だと思います。魚は、淡水魚と底魚(ヒラメやカレイなど)はもちろん、海底を這う甲殻類や貝やタコなどもしばらく注意かと。うちは大型の回遊魚(マグロ、カツオ、ブリなど)も念のため避けています。マグロは乱獲の理由から数年前から食べていませんが・・・。あとは魚介類関係でいうと、これからは河口域や湾でとられるもの要チェックです。汚染された土壌を雨が流してはけた水、これからは雪解け水、人々が行う除染で山や陸地から洗い流された汚染水が川に流れ集まり、下流で汚染が高まっていることはニュースにもなっていました。そしてついには海に流れ出る。
河口付近の底に溜まり、そこに棲む生物に長期的に影響を与えるとの指摘もあります。海の汚染だけでなく、除染の問題点にも行きつく話です・・・。魚介類についてはこちらも詳しいです:
グラフで見る水産物の放射能汚染。)
*第二に特殊に集める生物がある。直接食べることはないがコケ、特に注意すべきなのはキノコ、とりわけシイタケ、ナメコだ。キノコは菌類であるせいか、よく周囲からセシウムを集めてくる。他に葉の固いイネ、笹、竹などが集めやすい。特に来春のタケノコは要注意だ。日本では一般的ではないが、チェルノブイリではブルーベリーが非常に高く汚染されていた。
(わたしはキノコは 3月以来一度も口にしていないのですが、いやはやキノコは最強です。まさにマリオが一機死ぬ毒キノコ。つい先日も干しシイタケから規制値 4倍のセシウムというニュースがありましたが、今どきあの異常に高い暫定規制値を超えてしまうものなんてキノコにしかできない荒技です。26年経った今でも、欧州でチェルノブイリ由来の高い Cs がマッシュルームから出たという記事も見ました。以前も触れましたが、汚染されたおがくず(菌を育てる床)が北関東から四国に流出した例があったので、今でも産地を問わずキノコは気をつけた方がいいと思います。ああ、なめこ汁食いたいなぁ。)
*第三に幹や枝葉から汚染が伝った可能性のあるものとして、果物、クリ、ウメ、お茶がある。福島周辺は3月の時点では若葉はまだ生えていなかった。幹と枝ばかりの落葉樹には、幹自体に汚染が取りついた。それが樹幹流と呼ばれる雨水の流れとともに、果実に入り込んだのだろう。お茶の調査では根から吸い上げたものではないとされている。汚染された落ち葉も、2011年の葉よりも2010年に落ちた落ち葉の方が汚染度が高い。(静岡のお茶でもまだ検出されますね。お茶、クリ、ドングリの汚染について詳しく書かれたブログ記事をリンクします。スギ花粉のことにも触れられています。)
*第四に部分的に集めている作物がある。特にコメの胚芽部分、小麦の麦芽部分だ。チェルノブイリの調査では、胚芽部分に93%の汚染が集中していたというデータもある。胚芽部分を除いた白米では、汚染は相当低くなる。 (米は高濃度に汚染された場所は福島県の一部などとわかっているのに、そこから産地偽装などされて(例えば新潟に運ばれ「新潟産」とパッケージ記載されて)流れているという情報をいくつか見かけました。作らなければ補償がもらえないなどの問題もあり、一部の農家さんたちは作付けしてしまったんですよね。こういったトレースしにくい米は厄介です。摂取量が多いため、産地が確実なものを選ぶことが安全確保の近道と言えそうです。この産地表記が確かだ、という点でも産直のパルシステムなどの生協はおすすめです。ちなみにパルは厳しい自主基準を設けて検査機も導入し、検査結果を公表してくれています。)
*他の野菜類は根から集めていないようだ。そもそも Cs を植物は吸い上げたくはなく、カリウムと間違って集めている。カリウムが十分な土地では集めないのかもしれない。しかもチェルノブイリでは、年数が経つにつれて Cs 汚染は下がっている。セシウムは粘土に吸い込まれやすく、年を追って引き出されにくくなるようだ。その結果、ホコリをかぶった当初の野菜を除いて、ほぼすべての野菜の汚染度は極めて低い。ホウレンソウもナタネもヒマワリも集めていなかった。特にナタネが集めていないことを知ったとき、ほっとした。というのは、日本人が食べている野菜の中では、ナタネと同じ
アブラナ科の植物が圧倒的に多いから。ということは、私たちの食品はかなり汚染を避けられるのかもしれない(後略)。
(確かに野菜は落ち着いてきているようですが、れんこん(茨城が主な産地)など最近でもわずかに検出されていたのを見かけました。しかし検出されたケースでも野菜はキノコのようにバカ高い数値はでないのは事実です。)
以上!
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備考:
・セシウム花粉情報
(2月から4月は花粉症でもそうでなくても、とりあえずマスクしといた方がいいってことです)
・新基準値も全然あかん情報
(乳幼児食品に配慮するはずの改定が、牛乳 50Bq から 100Bq に逆戻り?・・・乳幼児のみならず妊婦への配慮もないダメダメな新基準値。外部被ばくとの合算もまったく考慮していないし、それ以前に検査はザルだし、期待薄です・・・この危機感なさ、いつまで続くやら。)