自分はお世話になったことはないけれど、空港で "lost and found" を見かけるたびに、英語ってシンプルだなと頷いてしまう。「遺失物取扱所」と言われるよりなんだか lost and found だと、なくしちゃったけど見つかる感じもしませんか。

人間は忘却の生き物です。忘れないと新しいことを覚えられないという許容量の問題だけでなく、意図して忘れ去りたいことも多い。忘れたくない、忘れてはいけないこともたくさんある。ここは忘れっぽい自身の日々の「公共備忘録」です。また、立ち寄ってくれた方たちがここで何か発見をして、喜んだり怒ったり哀しんだり笑ったりしてもらえれば幸いです。

《 NOTICE 》ちなみに今はもっぱら脱原発ブログとして展開中であります

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2012/04/18

本の挿絵をかきました

原発再稼働あれこれも書きたいのですが、今日はめずらしく仕事の PR です。脱原発関連でつながった合同出版の編集者の方から、昨年の暮れに本の挿絵のお仕事の依頼を受けました。自分はちょこっとしたものなら描くけれどイラストレーターではないので、少し戸惑ったのですが・・・必死こいてやりました。その本が先日発売されたので、紹介させてください。(注:表紙は装幀をされた別の方が描かれたものです)

 移住労働者と連帯する全国ネットワーク(編)
移住者というのは当然ながら、日本で暮らす外国人のことです。帯とカバーには「いま、日本には多くの移住者が、さまざまな形で暮らしています。しかしその姿は、日本人=マジョリティの側からは、あまり見えないかもしれません。しかしそれは、実際には「見ようとしていない」だけかもしれません。(略)私たちの「見ようとしていない」姿勢が、日本で日常を送っている移住者にとって生きにくい社会をつくっているのではないか。」「(略)この本を読めば、移住者の人たちが日本で暮らしていて何が問題なのかを知れ、どうすればもっと魅力にあふれた移民社会にできるかがよくわかります。」とあります。ここは日本なんだから文句言わんと生きにくけりゃ自分の国帰れや!とちょっとイデオロギーのあるおじさまにすごまれるかもしれませんが、日本の経済の一部は外国人労働者に支えられていて、ごそっと帰国されるようなことがあれば困るほど彼らがその一端を担っていることは事実。そのことがなくったって、国籍が違えども同じ人間なのに、差別意識のようなものが潜在的に日本人の中に多くあるのは、国々が地続きで移民の行き来が多かったヨーロッパなどに比べて日本が島国であることに関連しているのかもしれません。ともあれ、日本は間違いなく多民族社会になりつつあり、今さら鎖国時代には戻れないわけですから、未来のためにきちんと向き合わなければならないトピックです。

自分自身も夫が外国人なので、日本は外国人が暮らしにくい国であること(家族が日本人でなければさらに厳しいであろうこと)を知っていたつもりでしたが、この本を通して、知らなかった知るべき(とわたしは思う)現実や課題を多く知りました。とても充実した内容です。

:: :目次 :::
第1章 日本社会で生きる移住者の現実
第2章 日本社会のなかで「移民」はどう変わったか
第3章 移住者の悩みと願い
第4章 移住社会をつくるためのしくみ
第5章 移住者と一緒に理解し、行動してみよう

書店などで見かけましたら、内容ともどもゼヒ目を通してみてください!

ちなみにこの "30の方法" は社会を変える本としてシリーズになっていて、他に「世界から貧しさをなくす 30の方法」「戦争をしなくてすむ世界をつくる 30の方法」「人権で世界を変える 30の方法」「おカネで世界を変える 30の方法」などがあり、難しいと思われがちなテーマをくだいて優しく解説してくれています。また、今このタイミングで(同じく合同出版さんから)発売されている「原発を再稼働させてはいけない4つの理由」というブックレットもわかりやすくておすすめです。

イラストの話しに戻りますが、本の挿絵というのは(小説でもこういったノンフィクションのものでも何でもそうだと推測しますが)絵を描くことそのものよりも、内容からどのシーンをピックアップして、具体的になりすぎずに抽象寄りに表現するかがとても難しかったです。「あまりキッチリ描いた絵は、教科書っぽくなるので避けたい」という指示もあり、根がマジメなので(いやいや、ほんとに)キッチリさを崩すべく子どものおえかき帳をガン見する日々・・・締め切り日にはヘロヘロでした・・・。

(以下、挿絵の一部、お披露目デス)